
逃げ出した子ねこを探す
ココちゃん(2011/12/12)――ココちゃんが逃げ出したわけではありません、念のため。
さるねこ父&母にとって、ココちゃんは初めて里子に出した子ねこになります。里親さんにお渡しするときには、里親さんのことを信頼しつつも、「だいじょうぶかな、逃がしたり、急に病気になったり、事故に遭うようなことにならないといいけどな」としばらくはハラハラドキドキでした。「もし里親さんのおうちからするっと逃げ出したりしようものなら、全然周囲の環境はわからないだろうから、絶対戻ってこれないんじゃないか」と。
今日、知り合いのねこ飼いさん(何匹かのねこの里親探しをされている方)から、緊迫した声の電話をいただきました。「昨日里親さんに譲渡したばかりの子ねこが、今朝里親さんのお宅から逃げ出してしまったらしい」「とりあえず警察には連絡しましたが、あとどこに連絡すればいいですか」。
そりゃ大変です。これは日本全国そうだと思いますが、飼いねこ・飼いいぬが逃げ出した場合は、その地域の所轄警察署と保健所(もしくは動物管理センター・動物愛護センター)に連絡をとるのが鉄則です。今回のケースですと、稲佐警察署と長崎市動物管理センターになります。管轄区域の境界に近い場合は、両方(あるいは3つ以上)の警察署・保健所に連絡することになります。逃げ出した飼いねこ・飼いいぬは、市境や町丁目界を意識しながら歩き回るわけではありませんからね。
もし運良くうろついているところが誰かの目にとまり、警察官なり保健所職員の方なりが捕獲・保護してくれれば、そこで連絡が来ることになっています。が、そうした方たちは犬猫探しだけを一日中行なっているわけではありませんから、それで見つかる可能性は低いでしょう。やっぱり、自分たちの目と足で探さないといけないです。じゃあ、どうやって探すのか。さるねこ父はそういったねこを探すプロではないので、あくまで街でみかけるねこたちの行動パターンから推測してみます。以下、推測。
ねこの場合、普段から内外飼い(もしくは外飼い)で暮らしている場合は、半径数百メートルが通常の行動圏になります。オスねこで縄張り争いが絡んでくれば、もっと広い範囲に遠征することもあり得ますが、1kmを超えるような移動は稀です(少なくとも長崎ぐらいの街で暮らしている場合)。ビラを貼ったりちらしを配ったり回覧を回してもらったりする範囲は、逸走後の時間経過にも依りますが、だいたい半径数百メートルが目安になると思います。
ねこが室内飼いで外の経験がない場合、あるいはさらに今回のように、譲渡されたばかりで自分の新しい家についての情報を逃げ出したねこ自身も持っていない場合、もっと近い範囲で恐怖に固まっている可能性が高いでしょう。たとえば、数軒先のお宅の庭の茂みや、軒下に積まれた段ボール箱と壁のあいだのすきま、半分蓋がかかったような側溝、駐まっている車の下、などなど。人間やほかのねこからは見つかりにくく、かつ、いざ見つかったらすぐに逃げ出せるような場所に留まっていると考えられます。そして、人の動きの激しい昼間はそういったところに隠れていて、夕方から夜にかけて移動する、というパターンになるでしょう。探すなら夕方近くになってからがベターかもしれません。
隠れていそうな場所を、一人二人の人間でひとつひとつ探して回るのは難しいというか事実上不可能ですから、何人もの方に協力していただくことになります。となると、写真入りでできるだけ特徴をわかりやすく書いた連絡先入りのチラシを、ご近所に配るのが一番効果的です。個人的には、電柱ビラはあんまり効果がない気がします(そもそも違法ですしね)。そういえば、少し前にボズさんがこんな記事を書いていらっしゃいました。
前回、収容施設に居るワンちゃんの飼い主を探す効果的な方法を載せようかな?的な事を書いたので、あくまでボズ的捜索方なんだけど、紹介します。
実はとっても簡単な事なんです。
「名刺大のカードに、写真と情報を載せて、聞いて廻る」
たったこれだけ。
何故だか飼い主探しはポスターは効果ないです。 今まで一件もヒットしないので、作るだけ損かな?と感じています。
兎に角、メモを片手に自分の足で聞き込みをします。
飼い主不明の収容犬の飼い主捜しと、飼い主の家から逃げ出した飼い猫探しとでは、若干おもむきが異なりますが、「きちんと協力してくださる方の手元にしかるべき情報をお渡しする」というのが結局ベストなのではないかなと思います。半径数百メートルの範囲で、10~20人程度の「目」を束ねて探すことで、探すための手がかりは格段に得やすくなります。またそうした点から、地域とひとびとのつながりが密なところは探しやすいし、そうでないところは探しにくいだろうという気がします。
以上、推測終わり。で、夕方前になってから、現地周辺でねこが隠れられそうな場所がどんな感じで点在しているかを確認しながら、子ねこが逃げ出してしまった里親さんのお宅に伺いました。そして、上のような推測内容をお伝えし、逸走時の詳しい状況を確認しました。「朝方逃げ出したことに気づき、娘さんと二人で探していると、いったん向こうに見つかったのだが近寄ると逃げてしまった」「その後も時間をおいて、ぐるぐる近所を回ってさがしているが、それきり見つからない」「ご近所の庭もちの方には声をかけて写真を見せ、見かけたら連絡をいただけるようお願いした」「戻ってきやすいように、玄関先にカリカリとトイレを置いている」ということでした。
そうです。逃げ出したねこは、捕まえようと近寄ると100%逃げます。おびえて興奮しているため、見境なく走り出して車の事故にも遭いかねないので、「見つけた!」と思って走って近寄るのはNGです――実際その衝動を抑えるのはなかなか難しいですが。できればねこの方から帰ってくるように仕向けたい。捕獲器をしかけるなどの手段もないわけではないですが、いろんな意味でオススメはできません。
……しかし、昨日やってきたばかりの家に、子ねこの方から帰ってくるように仕向けるなんてできるかしらん? 自分のニオイもついてないだろうに……ニオイ?
「もしかして、ねこちゃんのおしっことかうんちとか残ってないですか?」
「朝方、うんちをしたばかりだったので、まだそれが新聞紙に包んで残ってますけど」
「じゃあ、それを玄関先のトイレのところに置いてみましょうか? たぶん、ねこは自分のうんちやおしっこのニオイはわかっているはずなので、ねこちゃんにとって帰るための目印になるかもしれません」
それから、チラシの作り方やご近所への協力要請のしかたなどについて打ち合わせ、ではまた明日からがんばって探しましょう――とお別れしてから1時間も経たないうちに、なんと!
「帰ってきました! 自分から帰ってきました。ありがとうございました」
と電話がかかってきました。すごい。
まあ、うんちが目印になったのかどうかは定かではないですが、こんな情報でもなにかの手がかりになるかも、と思って記事にしてみました。
……あとでさるねこ母にこの話をしたら、「くるねこ大和でも、こないだそんな記事が載ってたよ」と言われました。お正月に実家に帰省したときに逃げ出してしまった郡山の六平太くんの話でした。使っていたトイレ砂を実家の周りに撒いたそうですね。
ねこの嗅覚は侮れませんよ。
くんかくんか。
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