
ココちゃんの遺伝子検査とFIV(いわゆるねこエイズ)
血液の簡易検査キットでFIV(猫免疫不全ウィルス、いわゆる猫エイズウィルス)陽性の結果が出ていたココちゃんですが、確認を期するため行なった遺伝子検査の結果が出ました。残念ながら、陽性でした。
コ:がっかりです……
コ:ココちゃん、死んじゃいますか?
いやいやいや。そんなこと、ないから。
そうだよ。ココちゃんの病気のこと、ちゃんと知っておこうね。
というわけで、FIV のことについて改めてまとめておきます。さるねこ父は獣医師ではありませんので、細かい点でツッコミどころはあるかもしれませんが、大まかには次のような理解で間違ってはいないと思います。でも、最終的にはかかりつけの獣医師の先生にきちんと確認していただければと思います。
まず、FIV(猫免疫不全ウィルス)にはどのようにして感染するか、という点ですが、その多くはケンカによる咬み傷などの傷口を接点として感染猫の唾液・血液に含まれるウィルスが非感染猫の体内に入ること、もしくは交尾時において感染猫の体液が非感染猫の体内に入ることで感染するのが一般的です。リンパ系の組織がウィルスに感染することで、感染猫の体に変調を来すことになります。
一方、感染猫・非感染猫が互いにグルーミングをして、感染猫の唾液を非感染猫が舐めることによって感染するケースはごくごく稀とされます。また、子宮内での母子垂直感染や、母乳を通しての母子感染も稀であるとされています(※感染母猫の母乳を通して、ウィルスではなく「抗体(ウィルスに対抗するための物質)」が子猫に渡される「移行抗体」とは別の話です)。
2ヶ月にならないくらいのココちゃんが感染した経路として一番考えられるのは、感染母猫がココちゃんをグルーミングしてくれていたときに、たまたまココちゃんの体のどこかに傷口があって、そこから運悪くお母さんの唾液が体内に入ってしまった、というケースでしょうか。
ウィルスが体内に入ってしばらくすると、感染猫は微熱が続いたり下痢をしたりといった症状を示し、同時に血液内に抗体ができます。体力のない子ねこの場合、この段階で命を落とすこともあり得ますが、そうでなければ次第に症状は消え、無症状のキャリア(保菌猫)となります。
この無症状状態をどれだけ長く保てるかが、FIV キャリアのねこの一生を大きく左右します。完全室内飼いをして他の病気をもらったり体調を崩したりするリスクを減らし、必要十分な栄養を与えてストレスのない生活を送らせれば、次にやってくる不幸な段階へ移行することなく、健やかに(といっていいでしょう)天寿を全うできます。残念ながらそうならず、その子の本来の寿命の前にトリガー(引き金)が引かれてしまうと、徐々に体調を崩し、AIDS(後天性免疫不全症候群)による重い感染症がもたらすつらい死を迎えることになります。
世間一般の認識としては、もともとHIV(ヒト免疫不全ウィルス)が引き起こすAIDS患者の重篤な症状が頭にあって、その類推で、ねこも同じように FIV にかかると(感染すると)すぐにそういった重い症状で死に、またそれを他のねこや、時にはひとにまで撒き散らしてしまうのではないか、と思うかもしれません。しかし、それはかなり大きな誤解を含んでいます。
まず、HIV にしろ FIV にしろ、そのウィルス自体の感染力はそれほど強いものではありません。「さわっただけでうつる」とかそんなものではない。また、ウィルス自体が強い毒を持っていたりするわけでもありません。HIV・FIV の怖ろしい点はそこではなく、本来健康な個体(ひとでもねこでも)が持っているはずの免疫力を無化してしまうという点です。
ひともねこも、ちょっとくらいの風邪のウィルスなどが入り込んでも、免疫系が機能して、そうしたウィルスをやっつけたりして軽い症状で済ませられるものです。しかし HIV・FIV により AIDS を発症するとその免疫系が効かず、風邪のウィルスは体内で好き放題に繁殖し、重い肺炎や腸炎、脳炎などを引き起こします。それが、AIDSがもたらす重い症状の正体です。ガリガリにやせこけ、皮膚炎で毛が抜け落ち、下痢を垂れ流すようなねこの AIDS 末期症状は、本来であれば=免疫系が機能していればならなかったはずの合併症です。
FIV は、そうした重い合併症を直接発症させたりうつらせたりする力を持つウィルスなのではありません。たとえるなら「健康を保つために必要な能力を失わせる時限爆弾」のようなものです。
FIV は、ひとにはうつりません(突然変異すればわかりませんが、いまのところその例はありません)。また、他のねこにも簡単にはうつりません──という書き方は語弊がありますが、きちんと注意して管理すればうつさずに済むのは確かです。同じように、きちんと注意して管理すればかなりの確率で「時限爆弾を破裂させずに済む」のも確かです。
FIV感染猫と非感染猫を一緒くたにして飼い、けんかをするようなリスクをほったらかしにすれば、うつります。安易に感染猫を外に出してしまえば、よけいな病気にかかるリスクを高め、結果として「時限爆弾」が破裂してしまいます。だから「そうしなければよい」のです。
さるねこ父は、きちんと観察しながら、その時に応じて適切なケアを行なっていけば、FIV キャリアのねこの天寿を全うさせることは難しくないと考えています。FIV キャリアねこを単独で飼うのであれば他ねこへの感染の心配もせずにすみますし、複数飼いをする場合でもケースバイケースで対応策はあると思います。
ちょっとだけハードルはあがったココちゃんの里親さんさがしですが、ていねいに説明することで、ご縁をつかみたいと思います。
だから、ココちゃんもがんばろうね。べっぴんさんにならなきゃね。
コ:うぃっす。
…………「べっぴんさん」だよ?
コ:よろしくですの。
はい、よくできました(^_^)。
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