
ながさき紫陽花まつり
「ながさき おたくさ まつり」と読みます。オタクサ(Hydrangea otaksa)は、ジーボルト(シーボルト)とツッカリーニが共著で出版した『Flora Japonica 日本植物誌』(1835年~1870年にかけて刊行)のなかで日本原産となる園芸品種のアジサイ(ガクアジサイ)に付けられた学名だそうです(Wikipedia より)。日本の植物学の父牧野富太郎も絡んで、なんだかいろいろとその命名には裏話があるようですが、現在では、ジーボルトより以前に出島で活躍したスウェーデンの植物学者ツンベルクが1784年に著した『日本植物誌』にある Hydrangea macrophylla と同一種とされ、こちらの方が現在のガクアジサイの学名になっています。
えーと、なぜこんなどうでもいいことをぐだぐだ書くかと言いますと「おたくさ」というのがアジサイのことだと知っているのは、植物学者でなければ、長崎人だけだろうと思うからです。シーボルトが1823~28年に来日していたときの「妻」(その後オランダに帰国してからシーボルトは改めて結婚します)の名前である「滝」にちなんで otaksa という種名を付けたのだろうと牧野は推測していますが、そのへんの細かいエピソードは一般的にはいっさい知られていませんし、「おたくさ」がなにを指すかすらわからないというのが世間一般だろうと思います。このことがにわかに信じられない長崎人は、一度「おたくさ」を辞書で引いてみるとよろしかろうと思います。だめですよ、『長崎じげ辞典』とか引いちゃ。『広辞苑』とか引いて下さい。
ちなみに、さるねこ父が長崎に来る前に知っていた「おたくさ」はこれです。
http://www.kaho-karakusa.co.jp/products/otakusa/
おたくさ、というか、アジサイは長崎市の花に制定されています(1968年3月21日)。ながさき紫陽花まつりは、そんな「アジサイ LOVE」な長崎市の初夏の風物詩です。
こちらは中島川沿いで開催されている紫陽花まつり。赤いアジサイの向こうに眼鏡橋が見えています。
こちらは鳴滝のシーボルト宅跡のアジサイとクロサビさん。夕方であんまり色がきれいに出ていません。
中島川沿い、鳴滝周辺のほか、出島でも「ながさき紫陽花まつり」は開催されています。今年は5月26日~6月17日まで。でも、わざわざ会場に出かけなくても、街のそこここでアジサイが庭を飾っているお宅を目にします。そういうのもいいなあと思います。
