
長崎市動物管理センター鉄檻とセンター譲渡会
2012年7月9日15:41の長崎市動物管理センター鉄檻です。この時点で持ち込まれていた箱・袋は全部で13か14。約40匹の子ねこがここには入れられています。
お昼休みにとらきちさんが確認したのが11ですから、それよりまた増えました。
(とらきちさんのブログよりお借りしました)
先日、別館記事にこんなコメントが付きました。
自分は大学生なのですが、今日大学構内で子猫が一匹捨てられていました。
里親は探してみますが、なかなかみつかりそうにありません。
この場合やはり保健所へ持っていくのが適切なのでしょうか?
それとも見て見ぬふりをした方がよろしいのでしょうか?
突然のメール申し訳ありません。
「保健所へ持っていく」というのは、上掲の鉄檻の中に子ねこを入れるということです。以前記事にしたように、25分の24が殺処分される鉄檻の中に子ねこを入れるということです。勝手に「かわいそうだ」と子猫を1匹拾っておいて、「里親は探してみますが、なかなかみつかりそうにありません」と保健所に持ち込むのなら、頭がどうかしています。
ルルちゃんが遺棄されていたという記事にこういうコメントをつけるとは、大学生にもなって無知で無分別で無神経だと思いながら、こんなコメント返しをしました。
このブログを遡ってお読みになっていただけるとわかると思いますが、わたしや周りで一緒に活動している仲間たちはみな、「保健所への持ち込みをどうすれば減らせるか」「不幸なねこ・いぬをどうすればなくせるか」と考えて活動しています。
こう書けば、答えは明らかだと思います。
その子ねこの生殺与奪はあなた自身が握っています。どうされるのか、覚悟を決めて選択して下さい。
里親さがしの方法はいろいろあります。Twitter や mixi などの SNS も使えますし、「いつでも里親募集中」などの里親募集サイトも複数展開されています。貰い手とはなれなくても、子ねこの医療費を分担してくれる仲間や、餌・トイレ砂を負担してくれる友達なら見つけられませんか? コンビニやスーパー、ホームセンターなどに貼紙を出したり、タウンペーパーに「子ねこもらって下さい」と記事を出したり、オンラインでもオフラインでもさまざまな手段があります。下手な就活よりもよほど社会勉強になりますし、コミュニケーション・スキルも上がりますので、正面から向き合って下さることを望みます。
中途半端に子ねこを救うつもりで逆に自分でその子ねこの首を絞めようとしている人間がいるかと思えば、M町の地域ねこ現場のようなところに「ここだったら、助けて育ててくれるだろう」と遺棄されるケースもあります。
生ごみを捨てるように動物管理センターに子ねこを持ち込む人間。助けるつもりでかえって子ねこの命を奪おうとする人間。他人の善意にただ乗りして子ねこを押しつける人間。どう考えても、何かが狂ってます。
この日は長崎わんにゃん会のまりさん(記事1・記事2)とさえさんもセンターを訪れています。収容犬の多さについてさえさんも触れていますが、目に見えるのを数えた範囲で全部で24頭が収容されています(わんにゃん会さんで火曜日に引き出される予定のミニチュア・ダックスを含みます)。本来収容犬のためのスペースではないところにまで犬を収容しており、完全にキャパオーバーの状態です。
長崎 Life of Animal さんのブログでも拡散依頼記事は出ていますが、譲渡につなげるには非常に厳しいだろうというのが、さるねこ父の率直な感想です。ムダ吠えや威嚇などいわゆる「問題行動」を抱えていると思われる成犬(老犬)が狭いスペースに閉じ込められている状態では、一頭一頭に緩和のためのケアなど行なえるはずもありません。本質はおだやかな犬であったとしても、ここに長く入っていてそのままでいられるとは思えない。
犬舎に入ったとたんに「ここから出してくれ」と言わんばかりに24頭がいっせいに吠える様子を見て、「ここのいぬを引き出して家族にしよう」と思えるには、相当の精神的努力を必要とします。「かわいそう」だけでできることではない。もしその感情にまかせて引き出しても、元の飼い主にねじ曲げられたいぬの性格を本来の性格に戻すために必要な忍耐力が持たないから、結局またセンターに戻ってきたりする。
殺処分をなくしたいからと犬舎をいっぱいにしてしまうと、どんどんいぬにとっての環境は悪くなり、譲渡に向かなくなっていく負のスパイラルに陥る。じゃあ、殺処分して、譲渡に向くいぬだけを残しておけばいいのか、というと、そう簡単にそれを認めるわけにもいかない(ねこは現状そうなっていますが)。やっぱり何かが狂ってます。
センターのなかやその周りだけでどんなに職員さんやボランティアさんが工夫をしたところで、できることはたかが知れています。そもそも狂った社会のしわ寄せが来ているセンターにおいて、その運用をどんなにまともにしようとがんばったって、土台無理な話です。
わたしたちはわたしたちの社会が狂っているということを、もっと自覚しなければならないのだろうと思います。
多くのねこやいぬが狂った社会の犠牲になっていることをわたしたちが自覚するための譲渡会が、7月22日に長崎市動物管理センターで開催されます。センター収容犬と、一般参加の子ねこたち(=センターに持ち込んだり、そのへんに捨てたり、他人の善意にただ乗りしたりせずにがんばって里親さんを探そうとする方が面倒を見ている子ねこたち)のための譲渡会です。
日時:2012年7月22日(日) 13時~15時
場所:長崎市動物管理センター(長崎市茂里町2-2=地図はこちら)
問い合わせ先:長崎市動物管理センター(TEL: 095-844-2961)
この譲渡会でどれほどのご縁が決まるのかは、正直わかりません。全然決まらないかもしれない。新しい家族を求めるねこ・いぬの数は多すぎ、不遇のねこ・いぬに手をさしのべようという家族の数が少なすぎるのが、偽りない現状です。「心ある家族を増やすこと」「人間から見放されるねこ・いぬを減らすこと」の両方を追求していかなければ、狂った社会はいつまでも狂ったままです。
