
ながさき町ねこの歌写真展
長崎の町ねこ調査隊塾の塾生が撮影したまちねこ写真と、同じく塾生が詠んだ町ねこの暮らしをとらえた短歌を、コラボレーションで展示する「ながさき町ねこの歌写真展」を10月17日から開催します。
日程:2012年10月17日(水)~12月2日(日)
会場:カフェ豆ちゃん ギャルリーコクトー(長崎市東古川町1-5)
営業時間:水・木・金・土=11:30~20:00/日=11:30~18:00/月・火=定休
問い合わせ:TEL: 095-825-4455(カフェ豆ちゃん)
「短歌」というのは、原則として五・七・五・七・七の三十一音からなる日本の近代詩です。それに先立つ「和歌」は、古今和歌集とか小倉百人一首のかたちで「古典」としてわたしたちは国語の時間などに習ってきましたが、それとは外形は同じだけれどまったく異なる文芸運動の一つです。
そうした運動の常として、ある流れが形づくられると、必ずそこから別の流れが生まれ、また枝分かれしたり、再び一つに集まったりと、一言で全体を言いあらわすのは難しいのですが、今回の「歌写真展」の短歌33首を詠まれたOさんの句は、街のあちこちに立ち現れるねこたちの姿を極めて鮮やかに切り取っているという意味で「写実的」です。「写真的」と言ってもいいかもしれません。さるねこ父は、Oさんの句は、写真との相性がとてもよい、とひそかに思っています。
そしてもう一つ思っていることがあります。Oさんの句は、生半可な素人の写真は横に並べるのも恥ずかしくなるほど、切れ味がよいのです。たった31文字なのに、そこに詠まれているねこたちの表情やしぐさはもちろん、それを取り巻く景色や空気感、そしてそれらを眺めているOさんの視線までが、決して観念的・感傷的にではなく、過不足なく切り取られている。今まで、国語の教科書に載るような作品でなければ、新聞の読者投稿欄に毎週載せられているような短歌しか知らなかったさるねこ父には、衝撃的でした。
33首の中から、さるねこ父が好きな句を3つだけご紹介します。
- 庭に来て己れを名乗る黒猫は古武士の如く我を見つめる
- さよならと言えばニャーと泣く猫は意味がわからずついて来るなり
- 塀の上の三毛猫二匹前足を揃えていつもの餌を待ち居り
……いかがですか? 日頃まちなかにいるねこに視線をとめたことのある方なら、すぐに情景が浮かんでくると思います。と同時に、これに並べられる写真を撮るのは、ちょっとやそっとじゃ難しいぞ、ということは、まちなかのねこの写真を撮ったことのある方ならわかるはず。
というわけで、今回の「ながさき町ねこの歌写真展」は、写真と短歌のコラボレーションではありますが、両者が連動しているわけではありません。写真は写真として、短歌は短歌として楽しんでいただいた上で、さらにめいめいの頭の中でお好きなように組み合わせて、まちねこのイメージを広げていただければ、主催者としてこれにまさる悦びはありません。
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